男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 兄弟を代表して、ベックが怖々と尋ねてくる。

 そういえば、ノエルは聞こえるようにしている状態だけど、トーリの声は自分以外には聞こえていないんだった。ラビはそう思い出して、宙を指してこう教えた。

「声は聞こえないし、姿も見えないだろうけど、あそこに協力してくれている動物がいるんだ」

 すると、三人が目を剥いて、頭に巻いたターバンを揺らして叫んだ。

「『ちょっとした事情で透明になっている動物』って、お前の相棒だけじゃねぇのか!?」
「つか、どういう事情があったら透明になっちまうんだよ!?」
「この蛇も半分透明なんだけど、透明生物ってよくいんのか!?」

 これまで我慢していたらしい困惑を、彼らから続けてぶつけられたラビは、つい口の中で「……透明になってるって、何が?」と疑問をこぼしてしまった。自分が合流するまでに、セドリック達が彼らに一体なんと説明したのか気になった。
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