男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 なんと心強い親友だろうか。話の内容が難し過ぎるうえ突拍子もなくて、こちらは理解するのも半ば追い付かないでいるというのに、彼の方は冷静に分析し、そこに残されている希望的可能性を推測してくれている。

 獣師として出張したのは一度きりで、害獣だって先日の氷狼の他は、ホノワ村の土地に生息する熊や山狼を扱った事があるだけで、自分には実績と呼べるものが全然ない。そもそも、金髪金目を国家の役職席に据える事もないだろう。

 そう考えると気持ちも少しだけ楽になった。

 ここにきて、金髪金目に心が救われるなんて思ってもいなかったけれど……。

 そう思い出したら、またしても少しだけ悲しくなった。うっかり忘れていたが、この部屋にいる人が『悪魔の色』を気にしていない者達ばかりというだけで、一歩外に出れば、住み慣れた村以上の拒絶が待っているのだ。
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