男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 術は解いたみたいだし、あの蛇の群れも消えるのだろう。

 ラビは、そう思いながら、お洒落になって凛々しさも増した気がする親友を、角度を変えて観察した。なんだか嬉しくなって、つい、にこにこしてしまう。

 その笑顔に目を留めたノエルが、やや怪訝そうに首を傾げた。

『どうした? やっぱり、ちょっと変か?』
「ううん、とってもよく似合ってるよ。すごくカッコイイ!」

 彼にぴったりだと思って、ラビは喜びが滲む笑みを浮かべて答えた。

 ノエルが『こういう装飾品は面倒だと思っていたが、まぁ、たまになら悪くないな』と口の中で言って、彼女に見えるように胸を張って座る。優雅な長い毛並みを持った尻尾は、上機嫌に大きく揺れていた。

『せっかくの術具だ。魔力の無駄遣いをしねぇように、長く使わせてもらうさ』
「みんなに、ノエルの姿が見えるようになるかなぁ」
『お前は、目が良すぎるから分からないかもしれねぇが、もうなってるぜ。今試しにやってみたが、ちゃんと【実体化】してる』
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