男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
「チビ獣師とワンコの件は、俺らと総団長の秘密っすよね?」
「確かにそうだが、仕方ない。ここは――」

 そう答え掛けたセドリックは、ユリシスに目配せをされて口を閉じた。任せてください、と視線で伝えられて、ちらりとヴァンと目を合わせる。

 その様子に気付いたラビも、ノエルと共にきょとんとして目を向けた。何か考えがあるらしいユリシスが、一同の視線を受けながらベック達に向かい、銀縁眼鏡を押し上げて口を開いた。

「先程『事情があって透明になっている』とヴァンに――そこにいる彼に教えられたと思いますが。この遺跡にあったのは、実は謎の古代人が残した、呪を解くための首飾りだったのです」

 唐突に、彼が気真面目な表情で、しれっとそんな事を言った。

 それを聞いたラビ達は、揃って「は?」と呆気に取られた声を上げてしまった。まさか、そんな子供騙しみたいな作り話をするイメージもなかったから、一体どんな風に話をまとめてくるつもりなんだ、と、口も挟めずに様子を見守る。
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