男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
総隊長からの提案と依頼
 話を聞かせろよ、というノエルの声を聞いて、セドリックとユリシスとラビが見守る中、ルーファスは初任務となるかもしれないその『本題』について語り始めた。

「西に【ザイアース遺跡】と呼ばれている場所がある。昔から『砂の亡霊が守っている宝がある』と言われている古代遺跡の一つで、元は宗教的な跡地だったのだろうと推測されている」

 とはいえ、そこまでしか情報はない。

 ルーファスは、真剣味を帯びた声色でそう告げ、表情なく一同を見渡した。

「宗教的な繋がりがあるとされているザイアース遺跡では、砂の亡霊の話があるように、いつの間にか蛇科の害獣が大量発生し調査団が命からがら逃げ帰る事が続いた。そのため、調査はその途中の段階で終了してしまっている」

 二十年前にも国家獣師を連れた調査団が入ったが、やはり踏み込んで早々に撤退したらしい。プロの獣師達は「あれは本物の亡霊に違いない」と手も足も出なかったと口にし、危険だと判断されて立ち入りが制限されている。
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