男装獣師と妖獣ノエル 2~このたび第三騎士団の専属獣師になりました~
 ルーファスは、そんなノエルの憶測を聞いて満足そうに「わざわざ遺跡関係の資料を調べた甲斐があったな」と頷いた。

「私としては、それが術具として価値ある物なのかという事には興味がない。君にとって使える物かどうか、が重要だ。見えて都合がいい場合と、姿を消している方が行動しやすい場合もあるだろう?」
『つまり俺の意思で【実体化】出来るかどうかが焦点なんだろ? んなことは話を聞かされた当初から察してるっての』

 ラビの手が頭をふわふわと撫でてきて、ノエルはその手へと目を向けながら、ふと思い出して言葉を続けた。


『――言い忘れていたが、月明かりも微量の魔力を含む。妖獣は、満月くらいの強い月明かりの下であれば、自らの意思で実体化する事が出来る』

「ご開示頂き感謝するよ。また一つ、私は妖獣(きみたち)を理解する事が出来た」


 ルーファスは、にっこりと微笑んだ。それから「話は以上だ」と締めの言葉を切り出すと、総団長らしく表情を引き締めて、それぞれの顔をしっかり見据えてこう言った。
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