一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
別れは突然に


(どうして……?)

匡から連絡がなくなってから、どのくらい時間が過ぎたのだろうか。

あの日、頭痛がするうえに気分も悪いまま翔に促されて車に乗った。
日が暮れてから森末家の屋敷に戻ったが、匡の姿はなかった。

それからプツリと匡からの連絡が絶え、明らかに紗羽を拒絶し続けている。
なんの音沙汰もなければ、こちらからの電話に彼が出ることもない。
もちろん屋敷に帰ってくることもなく、着替えさえ買い足しているのか取りに戻ることもない。

紗羽はようやく事態の深刻さがわかってきた。

(匡さんは、たぶん誤解している)

薬をうっかり過剰に飲んでしまって、ベッドで眠っていた紗羽。
その状態の紗羽を見て、翔となにか間違いがあったと思っているのだろう。

「どうしよう。匡さん、かなり怒っているわ」

こんなことになるなら、軽井沢に行かなければよかったと思う。
紗羽は後悔していた。ありえない事態に、紗羽は何度も翔に相談した。


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