一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
「だって……三年も離れてたけど、ちっとも変わらないんだもん」
「ゆかりだって……」
それからはゆかりに誘導されて、三年前の出来事から四日前のホテルでのことまでを洗いざらい喋らされた。
紗羽はこれまで、あの時自分がどんな気持だったかなんて口にしたことはなかった。
清水やブラウン部長にも、事実のみをシンプルに説明しただけだ。
自分の思いを話したいけれど、誰にも離せなかったと言うべきか。
うっかり薬を飲んで誤解されたこと、匡に会うことすら拒絶されたこと、週刊誌の記事のこと。
それらが重なって辛くて悲しかったか、どれだけ傷ついたかまで話したのは初めてのことだった。
「紗羽……」
ゆかりがふいにハンカチを取り出した。
「拭きなよ」
「え?」
知らないうちに、紗羽は涙を流していたようだ。
「あ、私……」
「今まで、泣けなかったんだね」
「……ゆかり」