一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
再会
数日後、匡は神奈川の現場まで視察に行った帰りに小椋家の近くへ車を向かわせてた。
田園調布の落ち着いた街並みの一角に、目指す家はあった。
駅からは少し離れているが、ゆるい坂を上った先にベージュの塀に囲まれた瀟洒な洋館風の屋敷が見えた。
この辺りは普段から静かなのか、人影はまばらだった。
そろそろ学生が帰宅する時間帯だから人目につきたくはない。
屋敷から少し離れた場所に、目立たないように匡は車を止めさせた。
山根はすぐに車から出て、まるで下見をするかのように屋敷の周りをぶらぶらと歩いている。
「社長、あれは紗羽さんではないでしょうか?」
車内から出ていた山根が、慌てて車に乗り込んできた。
紗羽らしい姿を見かけたようだ。
外は蒸し暑かったのか、少し汗をかいている。
「高校生があんな格好をするのか?」
山根の言葉に目を凝らしたが、匡は納得がいかない。