一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
食事が終わると三船がひとりでのんびり片付けると言ってくれたので、匡と紗羽はリビングの掃き出し窓からテラスに出た。
ふたりは庭で花火をしたり、テラスに置いているラタン製のデッキチェアに並んで座ってお喋りをしたりする。
誕生日のお祝いだからと、匡は紗羽にも軽いアルコールの入ったグラスを渡した。
初めてのお酒を前に、紗羽は少し緊張した面持ちだ。ほんのひと口を味わうように飲んでいる。
「美味しいです!」
「カンパリは飲みやすいからな」
紗羽は赤いカンパリソーダが気に入ったようだ。
少しだけ大人になれた気がすると胸を張る紗羽が、匡にすれば微笑ましい。
「そういえば、匡さん」
グラスの半分くらいを飲んだだけで少し酔ったのか、紗羽の目もとがほんのりと赤い。
並んで腰かけたまま、隣の匡をじっと見ている。
「なんだ?」
「綺麗な広いお庭なのに、どうしてお花がないんですか?」
「花?」
いきなりの話題に、匡はなんのことかと戸惑った。
「色のあるお花。夏ならひまわりとかダリアとか……」
「手入れが面倒だから、考えたこともなかったな」
「それなら、三船さんと私でなにか植えてもいいですか? お庭の隅っこをお借り出来ませんか?」