一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
その表情がパッと変わる瞬間を匡は見つめる。
「あの、これは……」
戸惑うような怪しむような、それでいて嬉しそうなクルクルと変わる愛らしい紗羽の表情。
それが見たくて、こんな事を思いついたのかもしれない。
「私からの気持ちだ」
匡はソファーから立ち上がって、ツリーの前まで歩み寄った。
「この家にずっといる意味をそろそろ考えてくれないか?」
「意味、ですか?」
「私の妻になるということだ」
匡の言葉を聞いて、紗羽はポッと頬を赤らめる。
「これは、その約束の印」
「あの、それは……」
「結婚しよう」
「私が? 匡さんと?」
「他に誰がいる?」
匡は小箱から指輪を出して、そっと紗羽の左手の薬指にはめる。
紗羽の細い指は震えているようだ。
「いやか?」
匡の少し意地悪な問いに、紗羽は咄嗟に首を横に振る。
「受けてくれるんだな」
「は、はい!」
今度は、コクコクと紗羽は縦に首を振る。
その顔はもう真っ赤になっている。