一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
長く一緒に暮らしていたとはいえ、ふたりにとって初めての夜だ。
昨日まで匡が使っていたベッドルームは、今日からふたりの寝室になる。
北欧デザインの家具に、草木模様のベージュのカーテンがシックで落ち着いた雰囲気だ。
ふたりのために新しく大きめのサイズのベッドが運び込まれていた。
紗羽が寝室にノックしてから入ると、一足先にシャワーを浴びていた匡がベッドに座って待っていた。
「ここに座って」
紗羽は並ぶように匡の隣に座る。
「疲れただろう?」
「少し……こんなに何時間もお喋りしたり笑ったりしたのは初めてです」
「そうか」
「匡さんはお疲れではありませんか?」
式の日から数日休むために、昨夜も遅くまで彼が働いていたのは紗羽も知っている。
「いや、紗羽のためなら頑張れるもんだよ」
「そう?」
匡の手が紗羽の肩のあたりを軽く押した。
そのままふたりはベッドに倒れ込む。
「ずっと、君に触れたかった……」
匡が紗羽の首のあたりに顔を埋めてそっと唇をあてた。
「あ……」
冷たいような熱いような不思議な感覚が紗羽の背筋を走った。
プルっと震える紗羽を見ていた匡は、その手を紗羽の両肩から離す。
そして、紗羽の首筋から胸にかけてを柔らかくなぞってくる。