一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ
「今日から、君は私の妻だ」
「はい」
匡の声が耳の奥に響くように聞こえた。彼が耳元で囁いているのだ。
「なるべく優しくしたい……でも……悪い。我慢できない……」
「あ……」
どう答えていいかわからない紗羽は、ただ彼にされるがままだ。
肌に触れられるのも、体にキスされるのも、紗羽にとって初めての衝撃だった。
「好きだよ、紗羽」
彼が紗羽を大切に扱ってくれているのは、その手の優しい動きから伝わってくる。
「匡さん……」
それからは言葉もなく時間が過ぎていった。
匡の優しい口づけや愛撫を受けて、紗羽の心も体もトロトロに溶けていく。
恥ずかしさもあったが、妻になるのだから彼のすべてを受け止めたい。
夢中で彼の背にしがみついているうちにすべてが終わっていた。
***
ふうっと匡が深い息を吐いた。
それからギュッと紗羽の体を抱きしめる。
紗羽は閉じていた瞼をゆっくりと開いた。
「辛くなかった?」
匡に聞かれても、正直なところ紗羽にはよくわからない。
とにかく夢中だったので、彼に触れているうちに終わってしまったとしか思えない。