一度は消えた恋ですが――冷徹御曹司は想い続けた花嫁に何度でも愛を放つ


翔は甘え上手で、三船に手料理をねだって食事をしていく日もある。
翔の気さくな人柄に三船は親しみを覚えたらしく、手料理を褒められたからかすっかり仲よくなっている。
彼の好物を聞いて、いつ来てもいいように作り置きもしているようだ。

「初対面の日はどうなるかと思いましたが、いい方ですねえ。性格が明るくて話しやすいからでしょうか?」
「そうね。思っていたより気さくな方ね」

どちらかといえば人見知りな紗羽が、翔とは緊張せずに話せる。
話題が豊富な翔の話は聞いていて楽しいし、時にはアメリカでの生活ごっこと題して英語で会話したりもする。
翔の絵が売れるようになるまでの苦労話や、ニューヨークならではの危険な話も聞かされた。

「だけど、僕はあそこが大好きなんだ」

翔はニューヨークのトライベッカにあるレンガ造りの建物のロフトに住んで、絵を描いているらしい。

「君も英語の勉強してるんなら、むこうに行かなくちゃ」

外国に行ったことのない紗羽では、英会話の本当の実力はわからないと翔は言う。



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