もう遠慮なんかしない
新規業務

今回チーフの相澤颯(あいざわそう)さんは社内でも一番人気のSEでとても優秀な人。

そして、私がこの会社に入りたいと思うきっかけになった憧れの人。

何度かプログラマーとして相澤さんと仕事を組んだことはあったけど、相澤さんから直々にSEのアシスタントを指名されたのは今回が初めてだった。

「よし。頑張るぞ」

声に出して気合いを入れる。

相澤さんの派手な私生活とは真逆の私は、純粋に仕事を一緒にするだけで特には関わることはないと思っていた。。

今回も仕事だけに真面目に取り組むことだけを意識していた。

江川さんのプログラマー補佐として組んでいる時、「勉強になるよ」と言われて参加させてもらった相澤さんとの初めての仕事の時、相澤さんと普段から仲のよい江川さんが「中西さんの真面目さを少し分けてやってよ」と、苦笑しながらこぼしていた。

彼は180センチはあると思われる身長にモデルかもと思われるような顔立ち。

頭脳だけでなく見た目まで優秀なので、すれ違う女性は振り返るし、一緒に歩いているとなぜだか睨まれることさえある。

まさに雲の上の人だった。

プライベートではよく違う女性と二人で歩いているところを見るし、軽い人なのだけど、仕事には一切妥協がない。

その彼のシステム開発チームに関わるとなると当然残業が増える。

それをブラックと思うかは個人の判断になるが、特に文句をいう人はいない。
それくらい関係ないと考えられる程、間違いなく勉強になることが多いため指名されると皆断るなんてことはしない。

私もその一人だった。

当然、その人からのご指名となれば、気合いは120%で取り掛からねば…と気持ちを鼓舞する。

いつも相澤さんの設計するシステムはクライアントの意向がしっかりと反映されていて、さらに使い手の利便性が高いため評価も高い。

それがうちの会社としての商品価値をも上げていた。
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