王太子妃は2度目の恋をする
私は顔を下に向けながら、挨拶をした。

「美しい娘だな。」

「ありがとうございます。」

「イヴァンもそう思うだろう。」

「はい。」


私は、ハッとした。

この声。私の心臓は、ドキドキしてきた。


「アリーヌ嬢、どうか顔を上げて下さい。」

王太子殿下の言葉に、顔を上げると、私の考えは確信に変わった。

「王太子のイヴァン・ロンだ。」

軍服を着たその人に、私は涙が零れそうになった。

生きている。あの人が生きている!


「どうされた?アリーヌ嬢。」

泣きそうになっている私に、王太子殿下が話しかけてくれた。

「いえ、何でもありません。」

本当は何でもなかった。

また会えた。その思いが強かった。

私達は時を超えて、また巡り合えたのだ。
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