王太子妃は2度目の恋をする
優しい目線で王太子殿下を見ると、彼は無表情だった。

慌てて私も、笑顔を崩す。

王太子殿下が笑っていないのに、笑えるはずがない。

「殿下、また会って頂けますか?」

「どうして、そんな事を聞く?」

優しい口調の王太子殿下に、思わず頬が緩む。

「私はまだ、王太子殿下の婚約者ではないので。」

「お互い、話をするのが必要だね。」


まだ王太子殿下は、私の手を握って下さっている。

言葉では足りない温もりが、私に伝わってくる。

すると王太子殿下は、安心した表情をした。

「よかった。」

「えっ?」

「君は私が嫌だから、倒れたのではないかと思った。」

「そんなっ!」

私は王太子殿下の手を、ぎゅっと握りしめた。
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