【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
「あー……確かにそれもあるけど……」

 でも、村城くんの答えはちょっと違っていた。

「実際に急いでるときとか逆ナンされることがあって、本当に困ったりしたことあるんだ」
「そうなんだ。まあ、確かにかなりカッコイイもんね?」

 納得しながら見上げると、村城くんはわたしをジッと見下ろす。

 何かを待っているような、探るような。

 でも何でそんな目で見てくるのか分からなくて、私は小首を傾げた。


「っ!」

 すると何故か息を呑んで口を片手で覆う村城くん。

 そのまま何かを誤魔化すように視線をさ迷わせ、私のお弁当に留まる。


「……お弁当、ここで食べるの?」
「え? あ、そうだね。友達には別で食べるって言ってきちゃったし」

 もしかしたら誤魔化されて話が長引いちゃうと思ってそうしたんだけれど、案外早く終わってしまった。
 でも今更戻って一緒に食べても一人だけ食べ終わるの遅くなっちゃうし……。

 今日はこのままここで食べていった方がいいかな。


「じゃあ、俺もここで一緒に食べていいかな?」
「え? うん、もちろんいいよ?」

 一人寂しく食べなきゃいけないかなと思っていただけに、その提案はちょっと嬉しかった。
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