【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
「あ、でもお昼ご飯は?」

 私が急に連れ出したせいで何も持ってきていない村城くん。
 ちょっと申し訳ない気持ちで聞くと、「今買って来るから」と言われた。

 どうやら丁度購買に買いに行くところだったらしい。


 そういうわけで、パンや飲み物を買ってきた村城くんと朝だけでなくお昼もご一緒する。

 一緒にいただきますをしてそれぞれ食べながら、話題はやっぱり先ほど知ったばかりの村城くんのモデルの仕事のこと。


「モデルはいつからやってたの?」
「高校生になる頃に地方のローカル雑誌でちょっとね。それを大手の雑誌編集者の人が見てくれて、スカウトされた感じかな?」

 村城くんの話だと、転校してきたのはそのためでもあったらしい。
 父親の転勤話もあったから、ある意味丁度良かったんだとか。

「へー……。でもいつモデルの仕事とかしてるの? 去年同じクラスだったときも特に学校休んだりはしてなかった気がするけど」
「ああ、撮影とかは土日にしてもらってるんだ。打合せとかは平日だけど、放課後にやってるし」

 なんて話をしていたら、ふと思いついたみたいに村城くんが提案してきた。

「そうだ、もしよかったら撮影見に来る?」
「え⁉ いいの⁉」

 まさかそんな提案をしてくれるとは思っていなくて本気で驚く。
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