【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
『唯人くんはモデルの仕事もしているみたいだし、スキャンダルになりそうな変なマネはしないだろうと思って伊千佳を任せたんだ。期待通りみたいで良かったよ』
「ああ、年頃の娘と二人きりにさせるから何考えてるんだと思ったけど、そういう風に考えてたんだ?」
『もちろんだ。可愛い娘に手を出すような変な男を近付けるわけにはいかないだろう?』
「……そう、だね」
変な男ではないけれど、手は出されている気がするので何とも言えない気分になった。
その後は明日撮影を見学させてもらえることを話して、迷惑を掛けないようにと注意されて電話を切る。
明日着る服も選び終えると10時も過ぎていたので、私は慌ててベッドの中に入って目を閉じた。
***
「……伊千佳さん、かわいい……」
朝食も終えて着替えや身だしなみを整えてくると、村城くんの口から真っ先にそんな言葉が出てきた。
確かにオシャレしたしちょっとはメイクもしているけれど……。
「……超絶カッコイイ村城くんに言われても……」
そう、今日はモデルの仕事をしに行くからなのか、村城くんもいつも以上にキマッていた。
ウィッグで押さえつけていない髪はふんわりサラサラだし、服装も白いシャツを基調にしていて、ラフさもあるのに清潔感が漂っていた。
流石モデル。
着こなし抜群だよ。