【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
 ついでに言うと、この静けさが少し怖い。

 雨音は聞こえるけれど、家の中はシーンとしていて……。

 まるでこの家に私だけしかいないみたいな気になってしまう。

 一人でも平気だと思ってたんだけどな……。


 家族――特に弟がいればこんなときでも騒がしくて、寂しいなんて思う余裕もないんだけど……。

 でも今はその弟も、両親もいない。

 これで村城くんも居なかったら本当に一人だったんだな、と思った。


「村城くん、明日には出ていっちゃうんだよね……」

 明日にはお父さんが出張から帰ってくる。
 だから村城くんのお父さんも帰ってくるわけで、この家にいなくてもよくなる。

 はじめは気まずいしどうなることかと思っていたけれど、素顔を知ったりモデルをしていることを知ったり……キス、しちゃったり。

 色々なことがあったけど、あっという間だったな……。


 そんなことを考えていたら、なんだか余計寂しくなってしまった。

 村城くんとはこれからも学校で会おうと思えば会える。

「……でも、クラス違うから頻繁には会えないかな……?」

 言葉にすると、もっと寂しくなって……。

 もっと、強い繋がりが欲しいと思ってしまった。


 告白の返事、今しても良いかな?
 どうせ眠れないし、もうちょっとお話するくらいなら……。
< 39 / 52 >

この作品をシェア

pagetop