【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
少しためらいもあったけれど、善は急げっていうし。
多分、今を逃したらちゃんと話をする機会はグッと減ってしまうだろうから。
私はまたスマホのライトをつけて部屋から出る。
村城くんがいる部屋の前に来て、ノックをしようとした手をピタッと止めた。
……告白の返事をしようと思って来たのは良いけど、なんて切り出そう。
今返事していい? って直球で行く?
それともまずは少し話さない? って言う?
ドアの前でああでもないこうでもないと悩んでいると、ドアの内側の方からコンコンとノックされてビクッとした。
『……えっと、伊千佳さん?』
「あ、うん」
返事をすると、カチャッと控えめな音を立ててドアが開く。
スマホのライトでぼんやり見えた顔は困り笑顔だった。
「足音で来たのは分かったけど、部屋の前で止まって声もかけて来ないからどうしたのかと思って……」
「あ……ご、ごめん」
来たのはバレバレだったのに、そこからためらってたのもバレバレとか……恥ずかしい。
でも村城くんは迷惑そうな顔もせず優しく微笑んで「どうしたの?」と聞いて来る。
私はなんて言おうかと頭の中で考えて……でも口から出てきたのはただの事実とちょっとの望みだった。
多分、今を逃したらちゃんと話をする機会はグッと減ってしまうだろうから。
私はまたスマホのライトをつけて部屋から出る。
村城くんがいる部屋の前に来て、ノックをしようとした手をピタッと止めた。
……告白の返事をしようと思って来たのは良いけど、なんて切り出そう。
今返事していい? って直球で行く?
それともまずは少し話さない? って言う?
ドアの前でああでもないこうでもないと悩んでいると、ドアの内側の方からコンコンとノックされてビクッとした。
『……えっと、伊千佳さん?』
「あ、うん」
返事をすると、カチャッと控えめな音を立ててドアが開く。
スマホのライトでぼんやり見えた顔は困り笑顔だった。
「足音で来たのは分かったけど、部屋の前で止まって声もかけて来ないからどうしたのかと思って……」
「あ……ご、ごめん」
来たのはバレバレだったのに、そこからためらってたのもバレバレとか……恥ずかしい。
でも村城くんは迷惑そうな顔もせず優しく微笑んで「どうしたの?」と聞いて来る。
私はなんて言おうかと頭の中で考えて……でも口から出てきたのはただの事実とちょっとの望みだった。