【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
「伊千佳さん……その、俺達恋人同士ってことで良いんだよね？」
「え⁉　う、うん……」

　確認の言葉に一気に顔が熱くなる。

　告白されて、OKの返事をした。

　付き合ってくださいとかは言われていなかったけれど、お互い好き同士で付き合うつもりでいるならそれであっていると思う。


　ただ、ハッキリ言葉にされたことで実感して、ひたすら照れた。

　そんな私に、村城くんは真剣に告げる。

「じゃあさ、俺のこと名前で呼んでよ。伊千佳さんのことは、去年同じクラスに花田さんが三人もいたから最初から名前呼びしてたけど……」

「そう、だね」

　確かに恋人っていう特別な存在になれたんだから、私も彼のことを名前で呼びたい。


「えっと……ゆい……っ」

　でも、いざ呼ぼうとすると恥ずかしさが勝って中々声が出せない。

「……伊千佳さん」

　村城くんは優しく呼び掛けて、待っていてくれてる。


　何度か挑戦して顔を真っ赤にさせた私は、やっとのことで彼の名前を呼ぶ。


「っ……唯人、くんっ！」

「伊千佳さん……あーヤバい。思ってた以上に……クる」

「ふぇ？」

　恥ずかしくて熱くなりすぎて、聞き返す声もふにゃふにゃになってしまう。
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