【短編】地味男が同居したら溺甘オオカミになりました。
「っ!……ごめん」

 なんで謝るの? と思ったのと同時に私は彼の――唯人くんの布団に押し倒されていた。

「ごめん、我慢出来ると思ったんだけどな……。俺、こんなにこらえ性がないとは思わなかった」

「え、えっと……唯人くん?」

 この体勢には流石に身の危険を感じる。

 でも、嫌なわけじゃないからどうしたらいいのか分からない。


 戸惑う私に、唯人くんは熱っぽい眼差しのまま優しく微笑む。

「大丈夫、キス以上はしないから。……ただ、今までよりもっと……恋人らしいキス、しようか?」

 色気を含んだ声が、近くなる。

「嫌なら叩いてくれていいから」

 ドキドキしすぎて、私の吐息も熱くなる。


「唯人くん……」

「うん……もっと、呼んで」

 そう言いながらも、彼は私の唇を塞いだ。


 チュッと触れるだけのキスから、唇を()むキスに。

 そして、柔らかいものが私の唇を割って入ってきた。
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