俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
(は……?)
「―――な……なに……」
「惚けても無駄です。四年前から着手している、駅前の再開発ですよ。地主が契約破棄には鈴堂が介入していると白状しました。
あなたは地主と裏取引をして、当時の営業担当である手嶋美夜を計画的に陥れた。
契約当時の防犯カメラの記録には、あなたが地主の屋敷を出入りしている様子もあったし、裏金としてあつかった資金繰りの資料も手に入れた。
当時、噂がでたその他の契約も、関係者はみな口を割りました」
美夜は言葉にならない悲鳴をあげて震えた。
(うそ。あれは、あの出来事は……)
ぞっとした。
今までの出来事は、この人の操作によるものだったのか。
「ち、違うのよ音夜さん。わたしは、その女があなたに相応しくないと思って……」
「わたしが誰を好きになろうと、余計なお世話です。たとえ美夜と結ばれなくたって、あなたを選ぶことは絶対にない」
昂然としたゆるぎない物言いに、胸が熱くなる。
綾香の顔は真っ青だ。
「地主たちを金で買収して、美夜が不利になるように情報操作したらしいが、金で買収されるようなやつは、さらに金を積めばすぐに寝返るんですよ」
「いや、違うの、駄目よ……」
おろおろとする綾香を、音夜は冷酷に見下ろす。
「鈴堂との取引は、即刻打ち切らせていただきます」
経営者としての宣言であった。