俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
「もちろんだ。色々難しいこと言って、我慢させてごめんな。誰の前でも好きなだけ。たくさんパパと呼んでほしい」


音夜は抱き上げて膝に座らせると、抱きしめて頬にキスをする。


「俺が、夜尋のパパだ」

「おーくんパパねー」


ヘーゼルの瞳が向かい合って、嬉しそうに弧を描いた。


「三人で幸せになろう。今まで離れていた分、嫌って言うほど愛してやるからな」


音夜は夜尋といっしょに美夜も抱き寄せた。

二人の温もりに幸せを感じる。



「よかった……間に合ってよかった。いつまでも煮え切らないわたしに呆れてしまったんだと思って、音夜があの人を誘った時、すごく焦ったの。
どうしても、あの人に取られたくなかった」


「鈴堂さんは口が止まらないし、あれ以上、美夜が罵倒されるのを見ているのが辛かったんだよ。

美夜が今後の関係について悩んでいたのを知っていたし、俺から暴露するわけにはいかなかったから。俺が彼女を連れだせば、とりあえずの場が収まるかと思ったんだ。
不安にさせて、ごめんな……」


「ううん……謝らないで。わたしのためにそうしてくれたんでしょ。ずっと自信がなくて、待たせてごめんね。
夜尋のことがあるから、責任を感じて言ってくれているのかもって、不安もあったの」


「あのね、俺がどれだけ美夜の事を想っているかわかってないよ。四年前のあの夜よりも、ずっと前から好きだったんだぞ。
ましてや、その想っていた人との子供までいるってわかったんだ。嫌だと言っても一生逃がす気はないよ」


「夜尋がいなくても、選んでくれた……?」


もう弱音を吐いちゃだめだと思いつつも、最後にするからと小さく不安を零した。
するとデコピンをされる。


「いたっ」

「俺の心はもっと痛いよ」

「うん……ごめん、でもね……」


ズキズキとするおでこを摩りながら顔を伺った。


「一夜で夜尋を授かったのは、俺が美夜を好きすぎたからだと思ってる。
避妊はしてたつもりだったんだけど、もうぜったい、一生離すもんかと思って抱いてたから、ちょっと、その、まあ……ハプニングがあったかもしれない……

計画的じゃなかったのは男として申し訳ないけれど、美夜への気持ちが証明されたんだって、俺は本当に嬉しかったんだ」


音夜の吐息が、額にふれた。


「ずっと好きだったよ。これからもずっと愛してる。もう二度と美夜と、夜尋とも離れたくないんだ」
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