俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
「は、はいっいます!」


条件反射で勢いよく返事をしてしまい、すぐにしまったと口を閉じる。


「美才治さんのご案内は――――」


扉を開けた女将はきょとんとした。


「あら、美才治さんもいらっしゃいましたの。こちらで何を……」

「座学です。まずは館内の間取り図、非難経路、備品の場所を頭にいれたくて私からお願いをしたんです。あと、ウォッチオーバーを見せてもらっていました。ちょうど終わったので、今から現場にでるところです」


音夜はにっこりわらって、何事もなかったように立ち上がった。
先ほどの甘い雰囲気は微塵もみせていない。


「ああ、よかった。美夜ちゃん、何かあって遅れているのかと思ったから」

「すみません。声をかけておけばよかったですね。すぐに館内の案内に入ります」

「ええ、お願いね」


女将が廊下にでると、音夜は女将に見えないように指を絡めて囁いた。


「美夜、君が好きだ。ずっと探してた。ずっと会いたかったんだ。お願い、逃げないで」


絡めた指を名頃惜しげに離し、仕事へと戻った。
触れた所にずっとその熱が残って、暫くドキドキとしていた。

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