俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
部屋に戻ると、トートバックから夜尋の一日の荷物を出す。
まだトイレトレーニング中で、お漏らしと外遊びで汚れた着替えが沢山だ。お昼寝で使った紙おむつを捨てて、タオル、コップ、連絡帳、ゴミ袋、歯ブラシセットなどを出した。
忘れないように、すぐに次の日の着替えを詰める。
夜尋は音夜の高い肩が気に入ったらしく下りようとしない。
「汚れ物どうするの?」
「いまから洗濯機回しに言って、その間にお夕飯を作るの」
「じゃあその間、俺が夜尋と遊んでいるよ」
「いいの?」
「勿論だよ。そのためにいるんだから」
任せて、と笑う音夜に甘えて、いつもは夜尋と一緒なのだが、初めて一人で家事に向かった。
赤ん坊の時は抱っこ紐でよかったのだが、最近はちょこちょこ動き回って大変だったので、とてもありがたい。
食事は旅館の賄いを貰うことはできるが、なるべく作るようにしていた。大人になったときに思いだす母親のご飯の味が、旅館の賄いでは自分が寂しいと感じたからだ。毎日は無理で頼ることもあるけれど、拘っている部分だ。
乾燥までできる全自動洗濯機に洗濯物を突っ込むと、調理場に一度行き、白米を貰ってから従業員用のミニキッチンへと向かう。
共用の冷蔵庫には、手嶋と名前が書かれた袋に野菜が詰まっていた。
「魚に……お豆腐と、卵もあるな」
簡単な野菜炒めとお味噌汁しか作れないが、音夜も食べるだろうか。少しだけ迷って、三人分作ることにした。
余ったら、明日食べればいい。
30分ほどで手早に済ませると、三人分のご飯を余所って部屋に戻った。
夜尋と二人だけだとタッパーに詰めて持って帰ってきてしまうが、今日はワゴンを借りて運ぶ。
いつもは夜尋の相手をしながらだが、今日は一人だったのでいつもより早く終わることができた。