俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
「お待たせ」

部屋に戻ると、夜尋と音夜は床に寝そべって遊んでいた。狭い部屋なので、音夜が寝そべると窮屈そうだ。

お絵描き帳にクレヨンで絵をかいていた。音夜も一緒になって、となりで何か描いている。

音夜の絵は庭のある一戸建てだった。不動産の仕事をしていただけあって、建築士のような本格的なイラストを描いていた。こんなことまで上手いなんて、器用だなと思う。


「おーくんじょーずねー」

夜尋が目を輝かせた。


「だろ? こういうの得意なんだ。夜尋はもっと上手いぞ」

「ぼくねー、せんせーもじょーずいうの。てんしゃいなの」

「ああ、天才だ。かっこいい家だな。夜尋の部屋はどこだ?」

「ぼくのへやここ。おっきーところね。ママはここなの。おにわできょうりゅうかうの。あんね、おーくんのおへやもちゅくったんだよ。おーくんのおへやここね」

「ありがとう。うれしいな」


二人の会話を横目に料理をテーブルに並べた。小さなテーブルなので、3人分乗せるとお皿がぎゅうぎゅうだ。


「おうちを描いていたんだね。すごく上手に描けてる」


色をたくさん使って、ダイナミックだ。
夜尋の描いた絵ならばどんなものでも国宝級だが、親の欲目を抜いてもセンスがあると思えた。
美夜は絵は苦手なため、この才能は音夜の遺伝かもしれない。


「俺の血筋だな」


起き上がった音夜がしたり顔になる。同じことを考えていたようだ。


「ちちゅじー?」


夜尋が無邪気に聞き返して、お互いにはっとした。

音夜は「なんでもない」と笑って誤魔化した。
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