俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
このままずっと三人で、なんて夢をみてしまう。
でも、自分たちの思いだけでどうにかなるとは思えない。


「ちょ、ちょっと音夜……! 他の人たちの目もあるし、さすがにそれは」


小声で抗議するが、音夜はまあまあと美夜を宥めた。


「今夜からの勤務は9時から三時間の夜勤。夜尋が起きるのは7時だろ。その少し前に部屋に行くようにするよ」


本当に朝まで一緒に過ごすわけではないらしい。
緊張で、寝れなくなるところだったとほっとすると「いやらしいこと想像した?」と音夜はにやにやとした。


「し、してない!」

「ふうん。そう? 俺はしたけど。腕枕したり、寝顔を見たり、隙あらばキスくらいはしちゃうかも。一晩中、美夜と過ごせるなんて幸せだよ」

「―――――な……」

「あ、顔真っ赤。気が強いふりしてるけど、そういうウブなところもたまんないよね」


なんてことを言うんだこの男は。
色々反論したかったが、夜尋の目が気になって咳払いをして気持ちを入れ替えた。


「で、でも、それじゃあ音夜が大変じゃ……」

「今夜は夜勤があるから、明日の朝は9時からフロントのサポートだっただろ。客室回りで体力使わないし、比較的ゆっくりできるシフトから大丈夫だよ」

「おーくんいっしょね! やくしょくね!」


飛び跳ねて喜ぶ夜尋の思いに押されて、しぶしぶ頷いた。

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