俺様御曹司が溺甘パパになって、深い愛を刻まれました
「あーずっと我慢していたのに、思いだしたら急に腹が立ってきた」

「なんで?!」


音夜の話だったのに……!!
いつの間にか論点がずれている。


「美夜は俺のものなのにね」

「わ、あ、……あっ」


薄ら笑いをした音夜に押し倒され、手首は床に縫い付けられた。


「美夜は元気で愛想いいから、ほんとみんなに好かれるんだよな。嬉しくも有るんだけど、それだけじゃないっていうか」

「や、でも、男として意識してるのは音夜だけだしっ……」


音夜が妖艶な雰囲気をだすので、変な汗が噴き出した。嫌な予感がして、自分は潔白だと必死に伝える。


「俺も、毎日美夜を意識してるよ……早く抱きたくてたまんない」

「……う……」

「毎日好きな人と一緒にいてさ、風呂上がりとか、寝顔とかを無防備にさらされるわけ。それがどれだけの拷問かわかる? 俺、我慢強いほうだと思うんだ」

「そ、その通りです……」


音夜と一緒に居るときは、仕事中か、プライベートでも夜尋が居るときだ。
そうすると女より母親という気持ちがでてしまい、恥じらいだとかおしとやかさは吹き飛んでしまうのだ。

やることが多すぎて、それどころじゃない。

それは申し訳ないと思いつつも、なかなか改善出来ない部分だ。
しかし例え色気をだしたり音夜を意識しても、ここでは何も進展出来ないと思う。
夜尋はいるし、壁も薄いとまではいわないが、防音ではない。


「美夜が癒してくれたら、この疲れも吹き飛ぶんだけどな」


ゆっくりと顔がさがってくる。


「ね、美夜。わがままは言わないよ。頑張ってる俺のために、キスだけ頂戴」

「ふ……う、う、ん……っ」


角度をつけて落ちてきた唇は、「まって」と言いたくて開いた口を大胆に覆った。
ぬるりと舌が差し込まれる。
ずっと我慢していた、を体現するように、美夜の口内で乱暴に動き回った。


「あ、あっ……ふ、んんっ」


逃がすものかと、歯の裏もなぞり隈無く蹂躙する。びっくりして引っ込めた舌はからめとられ、唾液を啜るように貪った。

全身が熱くなって、お腹の奥から、ジクジクとした気持ちが溢れてきた。手首を押さえていた手は、いつの間にか腰を撫でている。
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