『ペットフード』
鍵を開ける。全ての終わり…始まりの鍵。

「入って。久しぶりだね」
優しく入れてくれる雨哥の姿が嬉しい。この笑顔が大好き。
その背中を睨み、鍵を掛け、チェーンも掛ける。
逃がさない。全て聞き出してやる。
振り返るのが分かり、笑顔に戻る。
冷たい視線だった事に気付かず、苺美が微笑み返す。
この瞬間のお互いは本当に優しく愛おしいはずなのに。
出会った頃の2人の笑顔。
どうして…このままでいさせてくれないの?
一瞬、揺らぐ心を雨哥は止めた。
「許すの?」ともう1人の自分に聞かれた気がした。
「許さないよ」と秒で答える自分がいた。
そう。それで良い。
ここで許していたら、未来は変わった。
でも、それでも許したくない。許せない。もう…。
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