『ペットフード』
「えっと…。追ったのは」とやっぱり口籠もってしまう。
どう伝えたら、雨哥への気持ちは伝わるの?
ココア淹れてる間に考えとけよ。
戸惑う姿に「琉羽の事…」と雨哥の声が届く。ハッとする苺美。違う!それは違う!
「琉羽君の事は好きじゃないよ」と答える。
さっきも思ったけど、嘘じゃない。
「好きじゃないのに…どうして追ったり、待ったりするの?」答えよ。
「あのね…私、琉羽君の事が好きなんじゃなくて、雨哥だから、雨哥の好きな人だから、追っちゃったの。雨哥の彼氏…好きな人だから」
何を言ってるの?言われてるの?

「私の彼氏だから?私の好きな人だから追うの?」
普通の質問ではないと分かっている。
けれどこの質問になる。
「うん。雨哥と同じになりたいの」
苺美の答えも雨哥からすれば普通じゃない。
けれど、この返答が苺美の “普通” なのだ。
前に「雨哥の代わりに」と琉羽から聞いたのを思い出す。
「私と同じ…?私の代わりのつもり?」と聞く。何?この質問…。
「代わり…代わりで良い!雨哥と同じが良いの!」
苺美はどうにか伝えようと、言葉を探す。
どう言えば伝わるの?
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