『ペットフード』
雨哥の動揺が強まる。
「私と同じ?」
「雨哥と同じ…。雨哥の代わりとか次で良いの。てゆーよりも雨哥が1番じゃなきゃ意味なくて。雨哥の事を1番に好きで、雨哥もその人の事、1番でじゃなきゃ意味なくて」
苺美は必死で伝える。
伝わってる?分かってくれる?
「いいの!私の事はいいの。雨哥と琉羽君はそのままでいて」
何でそんな事、アンタに言われなきゃならないの?アンタが邪魔してるんだよ。何なの?
「私の好きな人…?」の雨哥の声に「うん」と素直に頷く苺美。
「私が好きな人が良いの?」
また苺美は頷いた。
「琉羽じゃなくて…別の人と付き合ってたらその人に行くの?」
「雨哥の好きな人…に?」
「雨哥と同じが良いの。雨哥の事」
「私のモノ…取らないで」
「違うの!」
「私のモノ、取ろうとしないで!何で私の好きな人なの!やめてよ!」
苺美の心が痛む。伝えたいのに、うまく伝わらない。“普通”じゃないから伝わらない。
伝えなきゃ。でも、伝えたら雨哥は離れて行くかな?
お母さんもそうだった。
私にはもう雨哥しかいないから…。雨哥を失うなんて…。そんなの…。
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