『ペットフード』
「私、ずっと雨哥の事が好きで、雨哥に嫌われたら駄目なの。雨哥の事が好きだから、その人に同じように私の事、好きになって欲しくて。雨哥の…雨哥と同じように愛して欲しいの」
「そんなの無理に決まってるじゃん。何言ってるの?!気持ち悪い!」
今までの怒りが苺美の言葉を制止する。
もう何も通じない。もう止めて…。雨哥の心に激しくノイズがかかり苺美の全てにフィルターを掛けようとする。

「雨哥!聞いて、違うの。私、あの時のお母さんと同じで。雨哥だけなの
ちゃんと。雨哥にはちゃんと伝えないとと思っても、言葉が詰まる。
『どうしよう』と動揺する心。
分かってもらう為に言いたいのに、言葉が出て来ない。伝わらない。待って…。
雨哥への気持ちは自分の中の “普通で” は伝わらないと知った。
分かってたけど…。こんなにも…。
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