『ペットフード』
次の瞬間、雨哥は両手で口を抑え、グッと強く目を閉じた。
さすがに閉じてしまった。これを見ると分かっていたのに。
いざとなると閉じてしまう。
怖かった。分かっていても怖い。

黒い素材の包みの中から、目を見開いた苺美の体が転がされ、雨哥の前に落ちた。
死んでいる。苺美は死んでいる。
分かっているのに見れなかった。
タキはそんな雨哥を見守る。
鋏で胸を刺した。殺した。私が殺した。
苺美の死体…。私が殺した。
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