『ペットフード』
少し前の記憶から戻る。そう。この赤は…。
「早い方が辛くないぞ」とタキは言う。
早い…方…?
どう言う意味?何がどう辛いの?
どうなるのか分からない。何が起きるの?
怖い。不安。気持ち悪い…。
この先…どうなるの?何があるの?
何?何?何なの?
雨哥の心は沢山の雨哥を生んだ。
いろんな自分の心の声で埋まる。
「何?」と小さく声にする。
タキを見た。タキと目が合う、
「大丈夫だから。助けてやるから。教えてやるから」とタキは言う。
「教えてやるから」
何を?助けてくれる…大丈夫…。信じ…たい…。信じる。
もしダメなら…殺して下さい。
こんな私を殺して下さい。

「タキさん…助けて…」と最後に伝えた。
「助ける。飲め」
タキは約束をした。
タキも雨哥を信じている。
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