『ペットフード』
雨哥の目に光が戻り、手の震えも止まった。
怖くない。大丈夫。タキさん…。
タキにカップを持つ手と反対の手を伸ばす。
タキは…握り返してくれた。
信じる。大丈夫。バイバイ苺美。

苺美の赤の入ったカップを口に付ける。
一気に口の中に含んだ。
口の中にその赤が…。
ドロっと生温かくかんじる。
思ったより流れて行く。
喉を通ったその瞬間、雨哥の顔は床の鉄網の上にあった。最悪。
今まで以上に全てが出ようとする。最悪。
今までで1番の「嫌」。
死にたくなる程、最悪な味。
自分ごと裏返してしまいたくなる。
熱い。寒い?いや、熱い。
全てを地下へと吐いた。
消えて、私の中から全部吐きたい。
消えろ!苺美。
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