『ペットフード』

「足首?何でまた。変わってるな」
本当にこの子は変わってる。タキはそんな思いで雨哥を見る。
雨哥は苺美の足首を見ていた。
思えばあの日から何かが変わったような気が…。あの日のあの行動…。
雨哥の中に “あの日” が戻って来ようとする。
「どうしてここなのか、聞いても良い?嫌なら答えなくて良いから」
どうして足首を選んだのか、それは…。

「高1の時、苺美の足首に痣を見付けて」
そう…あの日から全てが今日へと繋がる。
あの日、苺美と母親を引き離さなければ、きっと今は来ていない。
でも、もう今となっては、その全ては明かされない。聞こうとしなかったから。
苺美の口から言えないまま全てはバラバラになったから。もう話もまとまらないんだ。
苺美の中にしかなかった全てが、伝えられないまま終わったから。終わらせた。
苺美の足に痣を見付け、母親から離した時の事をタキに話した。
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