『ペットフード』
「足首」と答えた。
「どっち?」
どっち…?えっと…あの日は…。
「右です」
選んだ。決まった。
そして…。
持っていたメスをタキが苺美の足首にスッと走らせた。キレイに切れて行く。
気持ち良いくらい。
まるで料理をしているかのよう…。
タキは料理も上手なんだろうな。
料理…。
雨哥は琉羽との“料理のルール”を思い出す。
今日…今は…少し耳を澄ます。雨。大丈夫。
気付けば雨になっていた。
いつから降っていたんだろう。
雨の日は料理…でももし、この作業で手に傷を作るような事になったら?
手に傷…タキのいつかの左手の怪我はこの作業で。深かったもんなぁ…。
もう治ったみたい…。
傷痕になってないかな?
次から次に考えが廻る。こんな頭の中を考えが巡るなんて。
受験でもこんなに考えなかったのに。
タキの作業は進んで行く。
考えながらも視界には捉えていた。