『ペットフード』
“其れら” の触り心地に少し愉しさまでも生まれてしまう。
なんか、気持ち良いんだ内臓って。
タキは教えてくれた。
「嫌いな奴はどこを食べても不味い」と。
苺美は本当に “食えない奴” だと教えられた。
「最悪」と雨哥は小さくなった苺美を見下した。
けっこう小さくなって来ている苺美。
あと少しで全部加工される。
時間掛かるな。
「これに入れて」とタキがまとめて渡したのは、厚めのビニール袋だった。
初めて見る触る種類のビニール袋で、やはりこう言う時用に特別にあるんだなと受け取る。
もうそれが普通に起きて行く事で、これからやって行くのだと受け入れて行く。
受け入れる…。
なぜ?良いの?知らない。良いんじゃない?
タキもいるし…。心は冷たく答えを出した。
私は手伝うだけ。きっと頻繁に頼まれる事はないだろう。タキもそう言ってたし。
「読んだ時だけ来て」と言われ「はい」と答えた。
タキはほんの少し微笑んでくれた。
見れると思わなかった。見せてくれた。
タキのほんの少し、一瞬の優しい微笑み。
これから、少しずつ増えると良いな。
増えて良いのか?でもタキにこうして会える、話せるなら…。
< 195 / 251 >

この作品をシェア

pagetop