『ペットフード』
☆始☆
☆始☆
「くれぐれも…守って下さい」
冷静な声で終わる。
足元の犬は眠っていた。何犬か分からない。
1枚の【賃貸借契約書】と鍵が机の上に置かれ、その低い声の視界から立ち上がる。
【201号室】のプレートの下に「アトリエ」と書いたシールを貼る。
「よし」と微笑んだ。
この瞬間、ここが雨哥(うた)の場所になった。

部屋なんていらない。
作業が出来る空間、ソファーベッド、台所、トイレ、シャワー。
それだけで十分だ。
他はなくても別に良い。困らない。
だからあの【契約書】も雨哥には何一つとして支障ない。
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