『ペットフード』
「何?」と雨哥はその声に目を向け、そのまま口を閉じるのも忘れ、黙り見つめた。
ビーズや道具を収納するボックスが乗っている作業台と床の隙間から琉羽は何かを取り、手の上に乗せていた。
「ねぇ…何これ…これって…」と雨哥に見せる。
雨哥は何も言えず、ただ“其れ”を見ていた。
ナンデ?
琉羽が“其れ”から視線を雨哥に移す。
無表情の雨哥。
目の輝きも黒さを増す。

何でなの?
…返された?いつ?
何で?なんでなの?ナンデ?

「何で…こんな血がついてるの?血…だよね?」と琉羽がブレスレットから雨哥に視線を移す。
雨哥はゆっくり琉羽を見た。
琉羽も雨哥を真っ直ぐ見つめる。
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