『ペットフード』
雨哥が話し終え、落ち着くのを待つ。
琉羽が思っていたよりも早めに雨哥は落ち着きを取り戻し、琉羽を上目で見る。
「大丈夫?」と聞くと雨哥は数回頷き「ごめんね…こんな…」と謝る。
謝って済む事ではないけれど、謝るしか出来ない。
「今日は一旦帰るけど、大丈夫?」と琉羽が聞くと雨哥はまた頷く。
そして琉羽はこの時、決めていた。
これからの自分を。
雨哥の事を。
雨哥との事を。
この日、琉羽は決めた事を雨哥には告げず、一度帰る事にした。
「じゃあ…また連絡するね。琉羽…」
不安そうに玄関で琉羽を見送る。
「雨哥」と琉羽は振り返り、雨哥を真っ直ぐ見つめる。
「雨哥、大丈夫だから。雨哥の事、今回の事で嫌いになったりなんかしないよ。だから、心配しないで、安心して信じて」
雨哥は安心をし、琉羽の胸に顔を埋めた。
その体を包み、優しく雨哥の頭を撫で、「不安だったんでしょ?」と琉羽は言い「大丈夫。ずっと大好きだよ」と約束をした。
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