『ペットフード』
琉羽が何を思っているのか分からず、秒を重ねて行く。
『琉羽に言わなくちゃ』と思っても、行動へ移せない。
もし、次の動きで琉羽が消されてしまうのでは?
消えるのは消されるのは私だけにして…そんな考えに何度もなり、琉羽に言えない。
今、聞こえて来ている音が琉羽に変わったら?
だったらずっとこうして言わずにこの音に震えているのを選ばせて…。
耳も目も塞ぐ。どうしよう…。
この日のこの音の中…言えないまま終わった。
車が出て行く音。
何の音も聞こえなくなった。
終わったんだ。
次の日…掲示板だけが進んだ。

また “普通” が始まる。
春を見据えてのビーズの依頼が入る頃になる。
春、卒業、入学、新社会人。
いつもの春の色。
このまま仕事をするなんて…そんな器用な心じゃない。
雨哥は決めた。
そして動いた。
もう戻れない。
それが私のした事…
『大丈夫』を胸に。
スマホを…。
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