『ペットフード』
動く事は出来ても移動は出来なくなった。
何の為?何が起きるの?
椅子から立ち上がれても、タキと琉羽に届く距離に行けない。
どうして…。
何でなの?
何をしようとしているの?
駄目。イヤ。嫌。嫌。いや。厭なのだ。
「何でなの?何をしようとしてるの?やめて、お願い。琉羽!」
狂乱してしまいそうになる。
おかしくなる。もう訳が分からない。嫌だよ。
「ねぇ、何でこんな事、やだ!外して!ねぇ何するの?嫌だよ!ねぇ、タキさん!」
右手首に痛みが走る。
それでも雨哥は抗う。
どうにか抜かないと。
痛みなんて今だけだ。
「アンタの言う通りだな」とタキが冷静に言い、雨哥を見る。
「言う通りって…。何なの?」と雨哥はタキを見上げる。
「これを読んで」
タキは雨哥に1枚の紙を渡す。
繋がれた右手と自由な左手でその紙を取り、一気に読んだ。
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