『ペットフード』
「タキさん…琉羽じゃなくて、その時は琉羽じゃなくて私を殺して!琉羽は殺さないで!」
タキの足元に縋り、雨哥は必死に懇願(悃願)する。
「タキさん、良いでしょ?分かってくれるでしょ?ねぇ」
「雨哥」とタキは雨哥の両肩を掴み、椅子に座らせようとする。
「嫌だ!」と雨哥は床に倒れ込み、受け入れようとしない。
だって…そんな…。
次の瞬間、無理矢理、力尽くで雨哥を立たせ、タキが雨哥の頬を叩いた。
「やだ!」
それでも雨哥の声は変わらず叫ぶ。
タキを雨哥の声が刺す。
「雨哥、しっかりしろ!」とタキは最後の力で雨哥の頬をもう一度叩いた。
床に崩れ落ちた雨哥の体を引き上げ、タキは椅子に座らせる。
雨哥の体は熱かった。そして震えていた。
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