『ペットフード』
“助けてやる”
“黙ってろ”
“いつでも死にたくなったらご自由に”
そんな言葉を残し、材料として運ばれる。
“モノ” として運び込まれる。
そして、あの音の中、変わって行く。
【102号室】の中で加工される。
“ペットフード” は増えて行く。
黙る人達。
行方不明者。
そして、それを求めるペットは…すぐ近くで普通に暮らしている。
普段は普通に生活をし、普通の食事を口にする。
“其れ” が起きた時だけ、運ばれる。
“ペットフード” として、運ばれる。
世の中のペットになり、食す。
たまに食べれる、貴重な味。
好きでも嫌いでもない “普通” の味を求める人達。
その味しか知らない人が “普通” だから。
それを楽しみにしながら、今日も日常を生きる。
明日、自分が材料になるかも知れない。
黙る日々になるかも知れない。
それも普通の事で、特に何も変わらない。
別に何も起こってはいない。
それがこの町の “普通” “日常”。
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