『ペットフード』
琉羽はそんな雨哥を抱き締めた。
「雨哥…ごめんね。ずっと気にしてたんでしょ?」
琉羽にはすぐ全部伝わってしまう。
雨哥が心で何度も謝っていた事。
「あの日、苺美ちゃんと行ったよ。でもね、1つだけ伝えさせて」
琉羽が雨哥の顔を見る。
涙でくっついた髪を頬から外す琉羽の優しい手。
「何?」
「あの日、苺美ちゃんに、サプライズしよう!って言われてたんだ」
「サプライズ?」
「雨哥を呼んで、観たがってた映画をプレゼントしよう!って言われてて…。
でも、その日、雨哥から連絡が来て…何か変だなって考えてたら苺美ちゃんが雨哥が仕事入って来れないって言われたって教えられて…。
帰ろうと思ったんだけど、苺美ちゃんが映画観たい!って言うから行ったんだ。
…でも…「上司と」って雨哥に言っちゃったのは本当にごめん!」

【上司と飲み】と雨哥に送ったと言う細かい部分まで覚えている。
そう答えようと思っていたから?
それくらい何もないと誓えるから?どっち?
どちらにしても琉羽が苺美に対して気持ちがないと知りたかった。
< 66 / 251 >

この作品をシェア

pagetop