『ペットフード』
琉羽はすぐに出た。
「苺美ちゃん、一緒じゃないよね?」と小声で確認を取る琉羽。
いつもと違う…。
何か起きた?心がざわつく。
雨哥はカーテンを開け、窓の外を確認する。
いるはずはないと考えつつも、念の為、確認をする。
アパートの近く、声が聞こえそうな距離に苺美の姿は見えない。
「一緒じゃないし、近くにもいないよ。大丈夫?何かあったの?」
ドリンクの味を消すため、水を流し込む。
琉羽を守らないと。琉羽だけは守る。
アイツから絶対に…私が!

「苺美ちゃん、最近、何か変じゃない?」
琉羽が低い声で切り出す。
琉羽のその一言が嬉しい。
琉羽もアイツを変と思ってくれているのが、嬉しかったんだ。
「うーん。少し変わった子だけど…何かあったの?」と落ち着いて聞く。
何も知らない声で。
冷静に話を聞き出さねばと言う気持ちがあったから。
「苺美ちゃん、今、俺の近くに来てる気がするんだ。姿を見たんだ。今、苺美ちゃんがどこにいるか、知ってる?分かる?」
やっぱり琉羽の所に行っている。
やはり、苺美は琉羽を追って、出張先まで行っている。
琉羽が苺美の姿を見たのは、数時間前の事。
琉羽の話はこうだ。
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